接客業を経験した人なら、誰でも理不尽なクレームやお客様と出会ったことがあるでしょう。
私はいくつかのお店で働き、合計10年ほどの接客業経験があるのですが、どの職場でも必ず理不尽なクレームやお客様に遭遇しました。
そういったクレームは内容によっては怒りを覚えることもあるのですが、言われた瞬間「は?」と呆気にとられることも多く、しまいには笑いそうになって必死に我慢する、ということもありました。
理不尽なクレームを言っている人は、自分の主張が正しいと思い込みそれを疑っていないんですね。でも一般的な考え方からすると、理不尽なクレームを言っている人の考えは明らかにおかしい。
それを真面目な顔で、あるいは怒りに歪んだ顔でこちらにぶつけてくるのを見ると、なんだか怒る気も失せて、馬鹿馬鹿しくて笑いそうになったものです。もちろんそこで笑うと相手は当然怒るでしょうから、咳払いでごまかしたりしてましたが(笑)
今回は私が接客業で経験した理不尽なクレーム&お客様の中でも、とある100円ショップで働いていたときに思わず笑いそうになったものを5つご紹介します。
1.これまずいから返品して!
あるとき私が担当していたレジにすらりと背が高く、オシャレな格好をした30歳前後と思われる女性がやってきました。100円ショップにいるのが似合わない、と思うような外見の女性です。
その女性は開封済みの1袋の飴を持ってきて「返品して」と私に言いました。
その100円ショップでは商品に不備があった場合を除き、基本的に返品は受け付けておらず、特に食べ物はたとえ開封前でも絶対に返品は受け付けない、という決まりでした。
なので私はマニュアル通り「申し訳ございませんが」と前置きしたうえで、お断りしたのですが、そのとたんお客様は怒り出しました。
「これまずいから返品してって言ってるの!」
私ポカーン、後ろでレジに並んでいる他のお客様もポカーン。その女性客1人が怒り狂っており、私に袋から取り出した飴を突きつけて「食べればわかるわ!まずいって!」と叫びました。
……いや美味しいか、まずいかというのは人によって違いますよね。
好みによるものですから、同じものを食べても美味しいと感じる人もいれば、まずいと感じる人もいるのは当たり前のことでしょう。
それ以前の問題で、100円ショップで買った袋入りの飴がまずいから返品してとか、100円でどんだけの味を求めてるの?とか、そんなこと大勢の人がいるところで言って恥ずかしくないの?とか、
いくら外見オシャレな格好しててもそんなこと言ってたら台無しだよ、とか色々言いたいことが頭の中に浮かんで、私は笑いそうになりました。
当然ですがそのお客様の主張は認められないので、丁重にお断りしてお帰り頂きました。
2.ロゴ入りの袋で電車乗ったら恥かくでしょ!
私が働いていた100円ショップでは、基本的にレジ担当が商品を袋に入れて、お客様に渡していました。そのときもいつも通り商品を袋に入れてお客様に渡そうとしたのですが、「他の袋ないの?」と苛立った声で言われました。
袋のサイズが小さい、大きいということで変えて欲しい、という要望はときどきあったので、私はどのサイズの袋がいいか尋ねました。
するとお店のロゴが入っていない袋がいいと言われ、そんなことを言われたのは初めてで驚いたものの、ロゴが入っていない袋はないことを伝えました。
するとそのお客様は「ロゴ入りの袋で電車乗ったら恥かくでしょ!」と怒鳴ったんです。
袋に入っているお店のロゴはひと目で100円ショップとわかる、有名なロゴでした。
確かにその袋を下げて電車に乗ると、周囲の人に100円ショップで買い物をしてきたとわかるでしょう。ちなみにそのお客様は30歳前後と思われる女性で、ブランドものと思われる、高そうな服やアクセサリーを身に着けていました。
そのお客様は「客に対する配慮がない」「恥をかくということが想像できないの」などとヒートアップ。とりあえず私は「申し訳ございません」と頭を下げていましたが、笑いそうでした。
ロゴ入りの袋を下げるのが恥ずかしいなら自分で袋を持ってくるか、そもそも100円ショップで買い物をしなければいい、
というかあなたが100円ショップの袋を下げてることなんて誰も気にしないよ、ロゴ入りの袋がイヤなら商品を手で抱えて帰れば?、などと言いたいことはたくさん浮かびます。
ちなみにそのお客様はしばらく喚いていましたが、結局ロゴ入りの袋を下げてお帰りになりました。
3.来年の干支に替えるだけや
これはクレームとは言えないのですが、強烈な記憶として残っているのでご紹介したいと思います。
年末に私が売り場で来年の干支の置物を並べているとき、隣にやってきたお客様が手に持っている袋をガサゴソ探り出したんです。
そのお店に限らないと思うのですが、万引きが疑われる行動をとっているお客様を見つけたら警戒するようにと店長から言われていたので、私は商品を並べながら隣のお客様の行動に注意していました。
するとそのお客様は持っていた袋から今年の干支の置物を取り出し、その置物を売り場に置いて、私が並べたばかりの来年の干支の置物を袋にしまおうとしたんです。
もちろんそれは常識外れの行動ですから、私は声をかけました。相手を怒らせないように、「どうされましたか?」という感じでお客様の行動について尋ねたんです。
するとそのお客様は「来年の干支に替えるだけや」と言ったんです。
私が唖然としていると更に「今年の干支はもういらんやろ。だから来年のと交換するんや」と、さもそれが当然とばかりに言いました。
いやいやなに言ってんの?1回買ったら次から無料で新しいのと取り換えられるなんて、そんな訳ないでしょと。
ちなみにそのお客様は60歳前後と思われる男性でした。怒る訳でもなく、言われている意味がわからないという感じで、ずっと不思議そうな顔をしていて、説得までかなり時間がかかったことを覚えています。
私は特にそのお客様に対して怒りは感じませんでしたが、「去年買ったものを新しいものと交換はできない」という、当たり前のことを繰り返し言っているうちに、自分はなんの説明をしてるんだろうと笑いそうになり、それを我慢するのが大変でした。
4.同じものと交換するだけだから
上の話と似ているのですが、これもかなりびっくりしたのでご紹介したいと思います。
ある日の夕方、私はぐちゃぐちゃになったバスタオル売り場の整理をしていました。すると60歳前後と思われる女性が大きなビニール袋を提げて、私の隣にやってきました。
その時点で嫌な予感はしていたのですが、そのお客様は持っていた袋から10枚近くはあると思われる、ボロボロのバスタオルを取り出し、売り場に放り出しました。
「あの、お客様」と私が声をかけても知らん顔で、売り場に並べてある新品のバスタオルを、代わりにとばかりにカラになった袋に入れていきます。
当然見過ごす訳にはいきません。今度は少し大きな声で呼びかけると、そのお客様はうっとおしそうな顔で「同じものと交換するだけだから」と言いました。
いやいやいや、そんなボロボロのバスタオルと、新品のバスタオルが同じ訳ないでしょ、それ以前に家から持ってきたバスタオルと交換できる訳ないでしょと。
まぁ思ったことをそのまま言う訳にもいかず、丁寧に説明したつもりですがわかってもらえず奇声を上げて暴れたので、結局警備員さんに引き取ってもらいました。
5.あんた犬が嫌いなの?人間じゃないわ!
多くのお店には、入り口に「ペットお断り」というような注意書きがありますよね。私が勤めていた100円ショップもそうでした。
たまにその注意書きが目に入らなかったのか、犬を抱いたまま入ってきたり、カバンからウサギの顔が飛び出していたり、ポケットにハムスターを入れていたり、ということはありましたが、注意すれば退店してくれるお客様ばかりでした。
ところがある日、リードもつけていない犬がお店に飛び込んできました。
その後から50歳前後と思われる女性がのんびりと「○○ちゃーん、ここが見たいのー?」と言いながら入ってきて、私は唖然としました。だっていきなり店に犬が飛び込んでくるなんて、予想してませんからね。
当然店内にいた他のお客様もびっくりしていましたが、犬の飼い主であるお客様は平然としていました。当たり前ですが放置する訳にはいかないので、私はお客様に注意しました。
もちろん失礼のないように丁寧に言ったつもりですが、そのお客様は「あんた犬が嫌いなの?人間じゃないわ!」と怒鳴りました。
ちなみに私は犬も猫も鳥も、動物全般好きです。でも好きとか嫌いとか関係ないですよね。ペット禁止というのはそのお店のルールですから、守ってもらう必要があります。
またお店を利用しているお客様の中には犬が嫌い、あるいは恐怖を感じるという人もいるかもしれませんし、アレルギーの人だっている可能性があります。
そのことをできるだけ丁寧に伝えましたが、そのお客様は「動物虐待よ!人間じゃないわ!」と怒り狂っておられました。
最終的にお帰り頂きましたが「人間じゃないわ!」というセリフがツボにハマって、しばらく笑いをこらえるのが大変でした。
まとめ
今回は私がとある100円ショップで働いていたときに、思わず笑いそうになったクレーム&お客様の話を5つご紹介しました。
そのお店はクレームがない日の方が珍しく、中には返品を断っただけで乾電池や金づち、ガラスコップなどを投げてくるお客様もいたので、笑っていられないことも多かったのですが……。
人の振り見て我が振り直せ、です。自分の言っていることが絶対に正しい、とは限りません。私もとんでもないクレーマーにならないように、言動には気をつけたいと思います。
※ちなみに今回ご紹介した100円ショップで私が倒れたときの体験談はこちら↓